一生黒歴史

俳優オタクのメモ書きです。

身内の推しの解釈を確認するために舞台アナザーカントリーを観た

 

2022年6月26日、5.6年付き合いのある和田くんのファンをしている身内からこのようなLINEが届きました。

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我こそは探究心旺盛な腐女子、とりあえず「アナザーカントリーとはなんぞや」とWikipediaに聞いたところ

『アナザー・カントリー』は、1981年初演のジュリアン・ミッチェルの舞台劇およびそれを原作とする1984年のイギリスのドラマ映画。1930年代のイングランドの全寮制のパブリックスクールを舞台に、同性愛や共産主義に傾倒していくエリート学生たちを描いている。

とのこと。

イングランドの全寮制寄宿男子学校」「同性愛や共産主義に傾倒していく」「エリート学生たち」私のルンがピカっと光りました。流石身内のおすすめ、やばい。萩尾望都先生や竹宮惠子先生、中村明日美子先生のその手の作品を一通り読みちぎって生きてきたわたしはとりあえず身内とのLINEに戻り、ワンチャン行こうかなみたいな感じで前のめりに話を聞いたところ、「推しの左右を確認したい」「観劇日に初対面の若いオタクの子と交流したが、流石にその話は遠慮してしまったので、できたら絶対に確認したい」ということのようでした。絶対にその議論に参加したい。

オタクなのでとりあえずチケット流通センターを開き、覚えたての作品名を打ち込みました。すると底値5000〜6000円程度で出回っていたので、

 

 

 

 

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みてきました。

なんなら

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友達(佐藤新担)を1匹釣っていきました。いつもありがとう、これからもよろしく。

 

以下、身内の推しの左右を確認しに劇場へ足を運んだフッ軽観劇オタクによる舞台「アナザーカントリー」の簡単な感想です。(左右についてはちょっと個人的すぎるので身内にLINEしました)一回しか観てないのと13列目とかから観たので表情とかまでは分からんかったので大目にみてください…

 

戯曲らしい言い回し盛り沢山で、すごく面白かったです。展開も良く出来ていて噛み合っていたし、それぞれの若さゆえの揺らぎ、今の時代では考えられない政治や革命、戦争が非常に彼らの近くにあり、成熟してないゆえの真っ直ぐさでそこへ向かっていくさまが眩しく自分が政治経済に全く無関心であることについて若干考えさせられました。とくにジャッドとデヴェニッシュの対比が分かりやすく、「自分で考えること」の強さを感じた気がします。

 

1番印象に残ったのは、消灯時間を過ぎても懐中電灯を使って読書して12個も懐中電灯を没収されているというジャッドが、「消灯!」という大衆性の象徴のような人物の声によって暗転しても光の下で本を読んでいるシーンだと思います。例えどんな暗闇の中でも自分という光を失わないというジャッドの不屈さを象徴していたように感じ、その後もたびたび大事なところで暗転してスポットライトとしていたり、月明かりを思わせる照明のシーンなどもありすごくぐっときました。最後にベネットとジャッドが横並びで客席の方を向いて座るシーンなんかは2人のこれからがそうであるように強く照らされていて、それが私にとってこの作品の全てだったように感じました。ほんとうによかったです。

 

第1章(?)について

はじまった瞬間(幕が開いた瞬間というのが正しいかもしれないけどよみうり大手町ホールのため幕がなかった)、鐘の音が聞こえてきてメサイア厨の心臓が止まりそうになりました。何度聴いてもこのタイミングの鐘の音にはどきどきしてしまうものだなと思います。この鐘の音が重要な意味を持っていたことに全く気づいていない私は身内に対しあらかじめ言っておいてくれてもよくない!?と思うなどしました。

まずはとんでもない美少年、友人の推し和田くん演じるベネットについてから。和田くんのことはSexyZoneのライブにお邪魔した際に拝見したぶりで、スポットライトを劇場というフィールドで浴びる彼をみるのは初めてでした。絶対にこの寮の風紀を乱しているに違いない風貌で登場した友人の推しに対する感想としては、まずはやはり「顔が良い」に尽きます。神様からのギフトデカすぎる。くるくるの金髪がぱっちりしたおめめ、長いまつ毛、薄い唇や細く通った鼻筋、女性的ともいえるその顔立ちに本当によく似合っていたし、線の細い彼のスタイルにパブリックスクールの制服は余りにも輝いていて、「最高」でした。びっくりした。

そして演技評価の高かった鈴木大河くん、こちらも滝沢歌舞伎でしかみたことがなく彼だけにメインでスポットライトが当たるのを見るのが初めてでしたが、評判通りマジで芝居上手かったです。聞き取りやすい低く太い声に内包的な感情がよく篭っていて、物静かなぶっきらぼうなのに意志が強く、流石ジャニーズ、顔が良いしスタイルも良くて、本当に眩しかった。なによりベネットの横に立った際のビジュアルバランスがとても良かった。何もかもが違く見える2人がきっとこれからの未来では得難い友情をこの学舎で築いていくに違いないとこれからの展開にワクワクしました。

そしてたわちゃんが出てくると、「この人は確実に学年代表だ…!」と思いました。オープニングで一瞬登場した際メガネかけてないのにそう思わされたし、実際にそうでした。現代でもあの見た目は生徒会長やと思う。ストーリーが始まってちょっと大柄なキャラが内気そうに現れた際には「確実に父親が有力者」と思わされるなどしました。ここには全寮制のストーリーに必要なピースがテンプレで用意されていました。

そして登場人物たちの何となくの人となりや置かれている状況や持っている思想などがわかる会話がなされ、作品は第1章の終わり、最初の鐘の音の伏線回収に向かったようでした。舞台HPのあらすじに物語の始まりとして記されている同性愛者であることを教師に見つかり自殺を図った生徒はメッサい音を立てていた鐘の下で首を吊っていました。自分がこの10分程度観てきたものに一気にまとまりが出たような感覚になり、面白いな〜と思いました。

 

叔父上とのお茶会について

このシーンすごい見応えあって良かった。流石だった。

生徒4人が壇の周りを歩き回る際、みていると同じ方向を向いて進んだと思えばすれ違う、それぞれ個々の思想を持った人間たちの会話を体現しているように感じて(合ってるかは知らんけど)面白く鑑賞しました。同じレーンを歩いている人とは同じ向きに回っているはずなのに上記の意味で同じ方向を向くことがないのも面白かったです。内側レーンをベネットとジャッド、外側レーンをドナルドくんとメンジスが歩いていたのはオチの暗示だったのでしょうか。メインキャラとサブキャラの棲み分けなのでしょうか。気になりました。

また、主人公たちが規律や同じ方向を向くことを求められることに苦しむと言う内容のため舞台セットが全て四角く規則的に作られているのかなと思っていたのですが、ここで出てくるサンドイッチを置く台だけが丸で、それをとびきりの美少年と形容されたウォートンが運び入れ、ベネットが片づけたことには意味があるのかしら?考えすぎ…?とおもいました。

 

サンドイッチ

上記の事柄からウォートンとベネットが「同じ」なのではと少し思ったのですが、もしそうだとしたらベネットがサンドイッチを食べてしまったのは親友に近づいている同類にお仕置きをしたのかしら、などと思ってしまいました。かわいい。自分にはめっちゃ脈なしなのに急にとられたらなんかやだよね、すきな人いても。

 

ジャッドとベネット

なんなの〜〜!!どっち〜!!

ベネットが好きな人ができたってジャッドに言うシーンで、「お前は本気でたった1人に恋をしたことがないから〜」みたいなセリフを聞いたとき、もしジャッドがベネットに対して実はそう思っていて、でも好きな人がいると打ち明けたら誰だってなってバレてしまうかもしれないから誰のことも好きじゃないふりしなきゃいけなくて、1番大好きなたった1人の相手にそんなこと言われてるんだったらどうしようと思って何故か私が客席で傷ついてしまいました。劇中何度もこういうことが原因で無関係な私が客席で傷つきまくってしまいました。ジャッドは思想や大義に友情を持ち込むのを嫌としていましたがベネットは友情に肉体関係を持ち込むことをタブーとしている気があり、そこもまた難しい………なんなの〜!!

ここについてはSexyZoneの名脇役をBGMに身内と真剣に議論中です。(私はSexyZoneのコンサートで名脇役を聴きながら恥ずかしいのですがBL漫画のことを考えて号泣してしまったことがあります)生きてて楽しい。とりあえず上記の内容を和田担に伝えたところ、序盤にジャッドがベネットに「お前も誰かに振られることがあるんだな、俺以外に」という台詞があるので、ベネットは少なくとも1回は誘ってジャッドが断っている、一線を超えてしまったら友達には戻れないし、ジャッドはベネットと関係を持つことで自分が蔑視している彼らと"同じ"になりたくなかったのではないかとの見解、本当に絶対にそう、本当に絶対にそう。身内すごい。

 

じゃあ何故ベネットと友達なの?

2人で話し合った結果、頭が良く柔軟で自分にないものを持っており、なにより顔がタイプだったのではというところに落ち着きました。(異論は認めます)

ジャッドに監督生になって欲しいと頼む時、ベネットは支配体制にジャッドを加わらせることは大事な信念を犠牲にさせることだと理解していて、メンジースのように「ちょっと我慢するだけ」とか絶対言わなかったし、ジャッドに失わせる前に軍事教練でことを起こして自分が先に失った。あんなことしてくれる友達なかなかいないよね。ジャッドもベネットが自分に注いでくれているものの大きさがわかって、それでいて友達で、それがああなったと思うと本当に許せないな…………

 

アナザーカントリーとは

真逆の人間同士が閉鎖的な世界でマブダチになる、下妻物語的な友情がアツかったです。"アナザーカントリー"は下妻でいう東京でアナカンでは結果的にロシアだったのか、ロシアから見たあの寄宿学校だったのか、寄宿舎時代からみたロシアなのか…そんなことを思いました。

スラングで言うとanother countryという言葉には無関係な余所者の口出しというような意味があるようだけどここでそれが関係あるのかはちょっともうわからないです、でもここじゃないどこかという意味の方がしっくりくるなと思いました。

 

最後のシーン

同性愛者であることが不本意に公表されたベネットにジャッド寄り添って座るシーン、同じ方向を向いて座る2人を意志のメタファーになる(と勝手に私が思っている)暗闇の中の光が照らしていて、この友情もきっと誰が暗くしたって光り続けるものなんだと思ったし、ジャッドという人間がただ膝と膝がついてるだけで寄り添うという愛情表現を知っている、ちゃんと人並みに愛されたことのある子供だったことにあったかくなりました。

 

たわちゃんすごい

たわちゃんはすごい。本当にすごい。メンジースのやな奴さがこの作品の肝だよね。それがKGBのスパイになる未来につながるわけだ…となりました。

何よりこんな役を本当に良い人なたわちゃんにやらせることがもうあり得ない、超性格悪いなとおもった。

 

とりあえずまとめ

考察好き観劇オタク、ほんっとうに素敵な作品がみられてうれしいです。

よみうり大手町ホールには以前SLANGという舞台で通ったり、先日お友達に招待してもらってひりひりとひとりを観劇しに来ていたのですが、その時に友人がこの劇場で見る舞台が全部面白かったみたいな話をしていたことを客席についた時に思い出して、今までこの劇場に響いたお芝居や拍手が全部天井や壁に染み込んでいるような感覚になってエモくなりました。

観た方がいいと声をかけてくれた身内に感謝です、あと定価じゃこんな気軽にみなかったと思うから値引いて譲ってくれた方ありがとうございました。アナザーカントリー、めちゃくちゃ面白かった!