一生黒歴史

俳優オタクのメモ書きです。

歌舞伎初心者がSANEMORIを観に行った感想


Snow Manの舘様こと宮舘涼太さんがご出演されているということで、初春歌舞伎公演 市川團十郎さんの襲名記念プログラムSANEMORIを観劇しました。
伝統芸能に触れるという演劇体験はなかなかないので、感想を残しておきたいと思います。
ちなみに私は若手俳優厨兼佐久間担、舞台だけは年間100公演近く見ていると思いますが歌舞伎は完全初心者、歴史全くわからん、前回のABKAIは観劇済みという状態で、今回はイヤホンガイドを利用して観劇しました。

まずはざっくりとした感想なのですが、とにかくめちゃくちゃ良かったです。観て良かったなと心から思いました。
舘様の先天的なセンスの良さと磨き抜かれた根性が歌舞伎というフィールドで存分に燃えたぎっていました。
市川團十郎さんの襲名というきっととても大切な公演でジャニーズのアイドルがこの番手をいただくというのは、ファンとしてもそれに応える購買をせねば…!と思いますし、このように感想をネットに残すことなどにも前のめりになって行きたいとは思っていたのですが、なんかそんなことせんくても舘様が既に説得力のあるお芝居をされていたと思います。もう一生この勝手に進んでいく偉人たちの追い風としてそよそよ生きていきたい。
話戻りますと舘様めちゃくちゃに出番あるし多分あれすごくいい役なんだと思うマジで、めちゃくちゃやばかったです。ぜひ観るべき。ジャニーズでアイドルをするというのはタレントの中でも最前線でトップクラスであることだと思うのですが、やっぱり一流の人ってこういうことが出来るから一流なんだな、とマジで思いました。もうこれしか言ってないけど本当にすごかったです。すごくてすごい。

ここからは簡単に項目を分けて感想を…

・イヤホンガイド
上演中片耳につけると解説が聞こえるというものです。この楽器の音がこれを表しているや着物の色、帯のゆい方による演出も教えてくれるので、私はすごく借りて良かったと思いました。演者さんの名前やストーリー解説もあり分かりやすかったです。
私は受け取りがスムーズなのがいいので事前予約しましたが予約しなくてもスムーズそうでした。事前予約した方が謎に何十円か安かったです。

・ABKAIとの違いについて
ABKAIでは海老蔵さんが実盛/義賢を演じていたので、義仲の出生を守ってくれた父親のような存在が2人いる、的な印象があったり、だてあべだったこともあり義仲と光盛の絆も強く印象に残ったのですが、今回は團十郎さんが実盛を、舘様が義賢/義仲を演じることでより「SANEMORI」という演目において実盛が主人公としてくっきり浮かび上がってきたような気がしました。義仲と光盛の役者の番手が違うことにより義仲と光盛よりも実盛と光盛の関係が印象強く、義仲の忠臣の中でも光盛は特別だけども複数いるうちのひとりとなっていて、義仲のカリスマ性がより広い範囲に効いているように見えたと思います。あとは義賢と義仲を一人が演じることでこの物語の中で実盛が義理堅く守ったものが源氏の白旗であったことがよりくっきりとして、最後の白旗を振るシーンの印象深さたるや、客演として迎えられた宮舘涼太さんであることも、役者さんたちご自身にも歌舞伎であったり家族であったりSnow Manであったり守るものがあることが背景として見える部分が随所にあった気がしてきたことが全部あの白旗に詰まってる気持ちになってアツくなりました。

・舘様の義賢
めっっっっっっっっっっっっっちゃよかった。
死に物狂いというのはこういうことだと息をのみました。
シンプルに大技っぽい立ち回りが沢山で、これが歌舞伎参加2回目(タキカブは抜きにします)だなんて誰が思うという感じで、“気合”って感じでした。舘様さすがすぎる。生半可じゃなかったです本当に。立っているだけで真剣なまなざしが伝わってくる、マジで感動しました。
素人調べですがこの義賢最期という演目をやるというのは物凄くすごいことらしく、それを立派な実力で返したのでは、、、!と思いました。
「ハァ、ハァ、」と台詞に自分のリアルな吐息を混ぜるようにして死に物狂いで戦う様子が、Jr.時代に前が見えなくなりながらがむしゃらに汗をかいて守った経験などと重なったりするのかな、今もがむしゃらであることが皮膚にびんびん伝わってきて、ぐっときたりしました。
立派に死にますが、戸板倒しなど滝沢歌舞伎で培ったことが活かされていることが宮舘さんの過去も肯定されていて、義仲としてステージにカムバックするところとパンフレットに書いてある宮舘さんのプロフィールが入所の次の行がデビューなこととかと私の頭の中でつながってアツくなりました。

・義仲かわいい
義仲、可愛かったです。
人が彼に付き従うのが彼の生まれだけじゃなく彼自身のカリスマ性?的なのにあることが舘様の演技から伝わって説得力があるように感じましたし、以前観た時は殺陣のシーンもお人形さんみたいでかわいい!と思ったのですが(普段観ている殺陣と違い型があるのがそのように見えました、型通りに見えているということなのでかなり良い意味です。恐らくこれは私が人生で初めて歌舞伎の立ち回りをみたことが原因だし、表現の正解があれば教えてください)、今回はそのようには感じず、かた通りなだけじゃなくてそこにその役として生きている感じが強かったと思います。どちらも好きですがステップアップを感じてすげー!と思いました。
そしてやっぱり最後の白旗を振るところ、マジで良くてあの時マスクの中で口開いてたんじゃないかな…マスクあって良かった…と思いました。宮舘さんって私からすると歳上なのですが、時折こうして若者としてがむしゃらにしがみついていくところに希望を感じます。

・歌舞伎を観るという演劇体験
とても楽しかったです。舘様が大技みたいなのをバンバン決めているのをみて流石なんでも出来ると思いましたが、トラディショナルなことをするのに柔軟な適応力が求められるのって相反していて面白いなと感じました。
普段観ているエンタメ性の高いものとは全然違くて、でも演出にセオリーがあるところとか、役者さんの背景が役に活きてくるところなどなどが普段観ているものと重なりまして、これを基盤に普段楽しんでいる演劇的なものがあるんだな〜と思って色々考えてしまいました。敬遠しがちだけどこういう"芸能"の根っこをここまで発祥当時と絶対近いんだろうなって形で、かつ柔軟に残しているひとたちがいることってとてもすごくてありがたいなと思いました。
舞台美術も素晴らしくてもっといろんなものがみてみたいと思いましたし、まだSANEMORIの観劇予定もあるので次観るまでにもうちょっと分かりたいな…と思って帰り道に歌舞伎座で売っていた書籍を購入しました(https://amzn.asia/d/cqxa9cc)、面白いです。


なんかもっといろいろ思ったんですけど忘れたので、またもう一回だけ観ようと思うのでその時や思い出した時に追記しようと思います。
とにかくすごい素敵な公演でした。心の底から観に行って良かったです。